肺癌
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最新号
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委員会報告
  • 福泉 彩, 赤松 弘朗, 朝倉 啓介, 小暮 啓人, 榊原 里江, 新納 英樹, 山田 忠明, 佐々木 高明, 竹中 朋祐, 田中 謙太郎, ...
    2024 年 64 巻 3 号 p. 151-157
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    目的.日本肺癌学会は,2023年にアーリーキャリア支援委員会を設立.今回,学会員のニーズ・現状把握を目的にアンケート調査を実施した.方法.日本肺癌学会会員7,734名を対象にSurveyMonkeyを用いて回答を依頼し,回答者個人の状況に関する質問6項目,アーリーキャリア支援委員会の企画する事業・講演会に関する質問が4項目であった.結果.回答数は595名で回収率は7.7%.年齢分布は20~29歳21名(3.5%),30~39歳172名(28.9%),40~49歳226名(38.0%),50~59歳117名(19.7%),60歳以上59名(9.9%)であった.性別は男性444名(74.6%),女性149名(25.0%),無回答2名(0.3%)であった.実現の要望が多かった事業・講演会は,半数以上が「国際学会派遣」や「留学奨学金」,もしくは「キャリアアップのための講演会」と回答.他方,キャリア形成で支障となっていると感じる事項については回答者の43.7%が「医局などの人事制度」と回答した.結論.学会員の多様な立場や価値観を踏まえた支援を立案,実施する必要性が改めて明らかとなった.

総説
  • 北野 滋久, 宮本 一平, 黒川 加奈, 宮脇 英里子, 水柿 秀紀
    2024 年 64 巻 3 号 p. 158-167
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    2014年に我が国で免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor;ICI)が承認されてから10年の歳月が経過した.ICIはT細胞上の共抑制受容体である免疫チェックポイント分子を抗体でブロックすることで,がん抗原特異的なT細胞を活性化し癌を攻撃する治療薬である.国際的には,2011年3月に進行期の悪性黒色腫に対して抗CTLA-4抗体イピリムマブが米国FDAの承認(我が国では2015年承認)を得て,2014年に抗PD-1抗体ニボルマブが我が国で承認された.その後,抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体を中心に複数の癌腫に単剤として適応の拡大が進み,その後,併用療法(複合がん免疫療法)が,多数の進行がんに対して承認されている.近年は早期癌に対する周術期治療としてICIが承認され,適応の拡大が進んでいる.本稿では肺癌以外のICIの開発状況について概説する.

症例
  • 苅田 涼, 藤原 大樹, 松本 寛樹, 柴 光年, 飯田 智彦
    2024 年 64 巻 3 号 p. 168-173
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.縦隔腫瘍に対しては,近年では胸腔鏡手術やロボット手術が主流である.腫瘍が大きい場合は十分な視野が得られず,安全性に問題が残る.症例.20歳代男性.健診で胸部異常影を指摘され,当科紹介となった.胸部CTでは前縦隔に最大径11 cmの腫瘤影を認め,頭側は甲状腺左葉下極に接していた.胸部MRIでは腫瘍の大部分は嚢胞様であったが最大径4 cmの充実成分を含み,手術適応があると判断した.若年のため,胸骨正中切開を避け,耳鼻咽喉科による頚部操作と呼吸器外科による胸腔鏡操作で腫瘍摘除の方針とした.頚部操作では腫瘍につながる下甲状腺静脈を切離し,左腕頭静脈上縁まで腫瘍を剥離した.右胸腔鏡操作では,視野確保のため嚢胞内容液を吸引し減量後,腫瘍を摘出した.術後経過は良好で術後5日目に退院となった.病理診断では腫瘍は被膜により被包化されており,腫瘍内部の大部分は嚢胞で,一部に充実性腫瘍を認めた.正岡分類I期,WHO分類type B2型の胸腺腫であった.結論.嚢胞内容液の回収により腫瘍体積を減少しつつ頚部操作を組み合わせることで胸骨正中切開を回避し,かつ安全に胸腔鏡下での切除が可能であった.

  • 高田 潤一, 井上 雄太
    2024 年 64 巻 3 号 p. 174-178
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.卵管癌・卵巣癌・腹膜癌の胸腔内転移で最も多いのは胸膜播種による胸水貯留で,リンパ節転移は傍胸骨や横隔膜上などへの転移報告が散見されるのみである.肺・胸膜病変を伴わない傍胸骨結節に胸腔鏡下生検を行い,卵管癌リンパ節転移と診断した稀な1例を報告する.症例.70歳女性.CT検査で偶発的に,多発腹膜結節および15 mm大の傍胸骨結節を認めた.腫瘍マーカーは,sIL-2レセプター1790/μl,CA125 346 U/mlと上昇していた.PET-CTでは腹膜結節と傍胸骨結節にSUV max 8.2,6.0の集積を認めた.肺・胸膜に病変はなかった.悪性リンパ腫などを疑い胸腔鏡下生検を行った.結節内に異型上皮が乳頭状に増殖し,免疫染色でのER・PAX8陽性所見から,高異型度漿液性腺癌のリンパ節転移と診断した.組織型から女性器原発を疑い両側付属器・大網・腹膜結節切除術を実施した.原発巣は左卵管采と判明し,腹膜播種から横隔膜前方経路でリンパ行性に傍胸骨転移を来したと考えた.術後10ヶ月時点で外来化学療法を継続中である.結論.傍胸骨腫瘍性病変の鑑別に,稀ながら卵管癌リンパ節転移も挙げられる.

  • 福島 有星, 澤井 豊光, 金子 誠也, 乘富 大地, 吉岡 寿麻子, 松尾 信子, 赤尾 恵子, 入江 準二, 門田 淳一, 迎 寛
    2024 年 64 巻 3 号 p. 179-185
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.混合型大細胞神経内分泌癌(combined large cell neuroendocrine carcinoma:combined LCNEC)は“腺癌,扁平上皮癌,多形癌が混在する大細胞神経内分泌癌”と定義される.腺癌との合併が最も多いが,いかなる非神経内分泌非小細胞癌との混在もありうる.症例.症例は85歳,男性.FDG-PET/CT検診で右上葉に辺縁不整の結節影を指摘され,同部位にFDGの異常集積を認められた.原発性肺癌が疑われたため,当科に紹介された.経気管支生検で小細胞肺癌と診断し,全身検索を行い,cT1bN0M0 cStage IA2と判断した.胸腔鏡下右上葉切除術を施行し,摘出標本の病理組織学検査で肺類基底細胞型扁平上皮癌(basaloid squamous cell carcinoma:BSCC)と混在したcombined LCNECと診断した.経気管支生検で小細胞肺癌と診断した成分はBSCCであり,免疫染色が診断に有用であった.結論.術前診断は小細胞肺癌であったが,術後にBSCCと混在したcombined LCNECと診断した極めて稀な症例を経験した.

  • 遠藤 優輝, 井上 考司, 勝田 知也, 橘 さやか, 近藤 晴香, 中村 純也, 能津 昌平, 相原 健人, 中西 徳彦, 森高 智典
    2024 年 64 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.オシメルチニブ肺障害後のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬再投与に関して一定の見解はない.症例1.63歳男性.多発脳転移を含む非小細胞肺癌stage IVB(EGFR del19変異陽性)と診断後にオシメルチニブによる治療を開始し部分奏効を得たが,11週後にgrade 3の肺障害のため投与中止とした.以後は殺細胞性抗癌剤による2~3次治療を行ったが,多発脳転移は増大を認め,エルロチニブ+ラムシルマブによる治療を選択した.体幹病変,脳病変はともに部分奏効を得て肺障害の再燃なく最終的に脳転移増悪まで7カ月継続可能であった.症例2.77歳女性.非小細胞肺癌 stage IVA(EGFR/L858R変異陽性)と診断後に開始したオシメルチニブは4週でgrade 2の肺障害のため中止し,次治療検討中に多発脳転移の新出を確認した.γナイフ治療に続いてエルロチニブ+ラムシルマブによる治療を行ったが5カ月現在で肺障害の再燃なく継続中である.結論.オシメルチニブによる肺障害を来したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して,脳転移制御のためにエルロチニブ+ラムシルマブを投与した2症例の経過を報告した.

  • 髙田 奈央, 福井 崇大, 入江 秀大, 舩津 洋平, 黄 英文
    2024 年 64 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.ドライバー遺伝子変異/転座陰性のIV期非小細胞肺癌における免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の有効性が知られている一方で様々な免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAEs)が報告されており,その一つに硬化性胆管炎が存在する.しかし報告は少なく,その臨床経過や治療については明らかではない.症例.当院で硬化性胆管炎を発症した3例の臨床経過について検討した.3例はICI投与中ないし投与後に胆道系酵素優位の肝機能障害を認めた.Magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)で肝内胆管に病変が限局していた1例はステロイドにより改善したが,肝内胆管及び肝外胆管に病変を認めた2例はステロイド反応性が良好と不良に分かれた.結論.irAE硬化性胆管炎のステロイド反応性の予測因子について,当院の3例の臨床経過に論文的考察を加えて検討した.肝内胆管に病変が限局する場合はステロイド反応性が良好である可能性が示唆された.

  • 田中 智, 八木 涼太, 吉村 信明, 朝川 遼, 飛田 哲志, 矢賀 元, 上野 清伸
    2024 年 64 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    背景.Epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor(EGFR-TKI)は有効性・忍容性の高い薬剤であり,EGFR陽性非小細胞肺癌患者において,幅広いpopulationに投与されている.主な有害事象としては下痢,肝障害,皮疹が挙げられるが,心毒性に関しての報告も増加傾向である.症例1.77歳女性.左上葉肺腺癌cT4N2M1a(PLE,PUL)stage IVA(UICC 8版)と診断し,EGFR L858R変異陽性・human epidermal growth factor receptor 2(HER2)変異陽性であった.1st line afatinib 20 mg/日の投与を開始し,16日後に労作時呼吸困難を主訴に当院に救急搬送となり,たこつぼ型心筋症と診断した.症例2.82歳女性.右上葉肺腺癌cT4N2M0 stage IIIB(UICC 8版)と診断し,EGFR del19変異陽性・L861Q変異陽性であった.1st line osimertinib 80 mg/日の投与を開始し,4日後の夜に突然動悸が生じ,たこつぼ型心筋症と診断した.結論.EGFR-TKIによる心毒性としてたこつぼ型心筋症も生じ得る.比較的稀な有害事象として考えられるが,致死に至る場合もあり,その発症において念頭に置くことが重要である.

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