2008 年 48 巻 2 号 p. 123-129
背景.肺癌の脈絡膜転移は稀である.症例.69歳,女性.右眼の視野異常を主訴に他医院受診し脈絡膜腫瘍,網膜剥離を指摘され当院へ紹介入院となった.全身検索の結果,胸部CTで左肺S3に結節影,経気管支肺生検で腺癌を認め脈絡膜転移を伴う原発性肺癌(cT4N0M1,stage IV)と診断した.EGFR exon 21の遺伝子変異を認め,また患者の希望もあり,first lineでゲフィチニブを投与したところ奏効し,視野異常の改善および原発巣の縮小を認めた.結論.EGFRの遺伝子変異を有する肺癌脈絡膜転移に対し,ゲフィチニブの有用性を認めた1例を経験した.