2008 年 48 巻 6 号 p. 732-736
間質性肺炎合併肺癌患者の診療には種々の問題がある.最近の報告では,間質性肺炎患者の肺癌治療では,薬剤性肺障害や急性増悪が起こりやすいとされている.われわれは,間質性肺炎合併肺癌52例(男性/女性 49/3,平均年齢70.5±7.5歳,非小細胞肺癌/小細胞肺癌 42/10例)を検討した.非切除非小細胞肺癌30例中19例で抗癌剤治療がなされ3例が2nd line治療中(Paclitaxel 2,Gefitinib 1)に急性増悪を発症した.非切除非小細胞肺癌で対症療法中の12例では1例が急性増悪を発症した.小細胞肺癌10例中7例が抗癌剤治療を受けたが,急性増悪例は認めなかった.肺癌診療においては間質性肺炎合併を慎重に評価し,間質性肺炎合併に際しては十分な説明を行ったうえでの治療方針決定が重要である.