肺癌
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症例
腫瘍随伴性小脳変性症にて発症し,再発時に新たに筋無力症状も加わった小細胞肺癌の1例
清水 邦彦小室 彰男濱中 伸介高橋 実希酒井 章次川城 丈夫
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2009 年 49 巻 2 号 p. 214-219

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抄録

背景.近年,小細胞肺癌による傍腫瘍性神経症候群の報告は増加傾向にあり,そのほとんどが抗神経抗体や初回治療効果に関するもので,再発に関する検討はなされていない.症例.63歳の男性.2007年5月より失調性歩行,構音障害などの小脳症状が出現し増悪したため当院神経内科を受診した.胸部画像検査にて左肺上葉に結節を認め,気管支鏡を施行し小細胞肺癌と診断した(cT4N2M0).既知の抗神経抗体は検出されなかったが,小脳症状を来す明らかな原因疾患を認めず,小細胞肺癌による腫瘍随伴性小脳変性症と診断した.化学療法にて著明な腫瘍縮小効果(good partial response: good PR)を得,同時に神経症状も劇的に改善した.2008年1月より筋無力症状が出現し神経学的に腫瘍随伴性小脳変性症とLambert-Eaton筋無力症候群の合併と診断され,腫瘍マーカーの再上昇からも,小細胞肺癌の再発とした.化学療法を施行するも神経徴候は改善しなかった.再発後6ヶ月経過しているが,画像上の腫瘍の増悪はみられていない.結論.再発時に他の病型である傍腫瘍性神経症候群を合併した稀な症例を経験した.

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© 2009 日本肺癌学会
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