抄録
悪性胸膜中皮腫はアスベスト曝露に起因する予後不良の難治性腫瘍である.悪性胸膜中皮腫に対する手術療法や放射線療法などの局所療法の効果は限定的であることから,治療成績の向上には全身化学療法が重要な役割を果たす.大規模第III相試験の結果から,新規葉酸代謝拮抗薬であるペメトレキセドは米国規制当局から世界で初めて悪性胸膜中皮腫治療薬として承認され,ペメトレキセド·シスプラチン併用療法は,未治療悪性胸膜中皮腫に対する標準的化学療法として認識されるに至った.近年,悪性胸膜中皮腫を含む悪性腫瘍に対するセカンドライン化学療法が生存期間の延長に密接に関連することが報告されてきた.しかしながら,これまで悪性胸膜中皮腫に対して推奨されるセカンドライン化学療法はない.切除不能悪性胸膜中皮腫に対するセカンドライン化学療法としてのペメトレキセド·シスプラチン併用療法の有効性と安全性を評価する目的で,科学技術振興調整費「アスベスト関連疾患への総括的取り組み」の研究課題として,多施設共同臨床試験が我が国において開始された.