肺癌
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症例
気管支鏡検査後に急速に拡大した壊死性空洞型肺扁平上皮癌の3例
加藤 毅人成田 久仁夫大原 啓示
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2010 年 50 巻 6 号 p. 822-827

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抄録

背景.原発性肺癌における空洞形成機序に関しては未だ議論の余地がある.今回我々はその機序,炎症併発時の対応について文献的考察を加え報告する.症例1.70歳男性.胸部単純写真にて左肺門部異常陰影を指摘.TBLBで扁平上皮癌と診断したが,その後腫瘍内に空洞を形成して吸引性肺炎を併発し,生検後7日目に左下葉切除+S1+2部分切除術を施行した.症例2.60歳男性.主訴は湿性咳嗽.胸部単純写真にて右肺門部に空洞を伴う結節影を指摘.TBLBにて扁平上皮癌の診断を得た後に血痰,発熱を認め,生検後15日目に右下葉切除術を施行した.症例3.64歳男性.健診胸部単純写真にて空洞を伴う結節影を指摘.TBBにて扁平上皮癌と診断した後に発熱,褐色膿性痰を認め,生検後26日目に左肺全摘出術を施行した.結論.本症例の空洞は気管支鏡検査後に増大したことから,癌細胞の虚血性壊死に誘導気管支のcheck valve機構の要因が絡んで形成されたものと推測された.また炎症併発時は適切な抗生剤治療の後に速やかな手術が必要と考えられた.

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© 2010 日本肺癌学会
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