肺癌
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原著
進行・再発非小細胞肺癌でgefitinib投与終了翌日よりerlotinibに切り替えた17例の検討
森川 慶千場 博藤井 慎嗣右山 洋平入來 豊久蔵野 良一杉本 幸弘
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2012 年 52 巻 6 号 p. 871-877

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抄録

背景.進行再発非小細胞肺癌に対して,gefitinib耐性後erlotinib投与の病勢制御率は30%程度と考えられているが,その適応など一定のコンセンサスは未だ得られていない.我々はgefitinibの再投与により抗腫瘍効果がみられる症例が存在することを報告したが,それらは再投与までにある程度の期間が存在しており,gefitinibの感受性細胞の再増殖がその主因と考えている.当施設においてこれまでgefitinib投与終了翌日からerlotinibの投与が開始された症例のみを後向きに検討した.EGFR-TKI-free intervalがない症例のみでerlotinibの効果を検討した報告はこれまでない.対象・方法.抗癌化学療法後あるいは初回治療としてgefitinibが投与され,投与終了翌日よりerlotinibが開始された17例の抗腫瘍効果と効果持続期間を後向きに検討した.結果.女性/男性 9例/8例,56~83歳(中央値70歳),非喫煙者/喫煙者 9例/8例,すべて腺癌,EGFR遺伝子変異あり/なし 14例/3例,IIIB/IV期/術後再発 2例/9例/6例,gefitinib投与前のレジメン数は0/1/2/3/4/5回が3/6/5/2/0/1例であった.Erlotinib投与でPRはみられなかったが,17例中9例でSDと判定し,うち4例は脳転移の改善を認め,erlotinibの投与期間中央値は160日(53~350日)であった.一方erlotinib投与でPDと判定した8例中7例はexon 19欠失あるいはexon 21 L858R点突然変異を有し,gefitinibに対しPR以上の効果を示し長期投与されていたものが多かった.結論.Gefitinibに耐性化後もerlotinibは治療選択肢の1つと考えられ,特にgefitinibが長期投与されていない例,脳転移を有する例でerlotinibへの変更は考慮されるべき治療の1つと考えられる.

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© 2012 日本肺癌学会
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