肺癌
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症例
肝細胞癌を合併した原発性肺癌の1例―肝転移との鑑別に関する考察を含めて―
水品 佳子大竹 俊哉坂東 政司礒田 憲夫遠藤 俊輔杉山 幸比古
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2012 年 52 巻 6 号 p. 884-889

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抄録

背景.非B非C型肝細胞癌は近年増加傾向で,肺癌と合併した場合には,肝転移との鑑別に苦慮する場合もある.症例.68歳男性.血痰を主訴に当院を受診した.50歳より糖尿病を指摘されていた.HBs抗原,HCV抗体は陰性であった.CTにて肺腫瘤,肝腫瘤を認め,肺扁平上皮癌(cT2aN2M1b-HEP,stage IV)と診断した.シスプラチン,パクリタキセル併用療法を行い,肝腫瘍以外は著明に縮小した.その後,肝腫瘍の軽度増大を認め,追加で施行した造影CT,MRI検査,AFP,PIVKA-II上昇から肝細胞癌が疑われた.腹腔鏡的ラジオ波焼灼療法を施行し,その際の生検にて肝細胞癌と診断した.肺癌の病期はcT2aN2M0,stage IIIAとなり,肺野残存病変に対し,胸腔鏡下右上葉切除,縦隔リンパ節郭清術(ND2a)を施行し,以後再発なく経過している.結論.原発性肺癌に非B非C型肝細胞癌を合併した1例を経験した.肺癌の診断において,遠隔転移が孤発性肝腫瘤である場合には,非B非C型肝細胞癌の可能性も念頭に精査を行うことが重要であり,また確定診断も可能な腹腔鏡的ラジオ波焼灼療法は有用な治療選択肢と考えられた.

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© 2012 日本肺癌学会
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