肺癌
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症例
同時性多発腫瘍(多発肺腺癌,胸腺定型カルチノイド,混合型胸腺上皮性腫瘍)の1例
横須賀 哲哉小林 利子
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2013 年 53 巻 2 号 p. 154-158

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抄録
背景.同時性の多発肺腺癌と,胸腺カルチノイドを含む多発胸腺腫瘍の合併例は極めて稀と思われる.症例.68歳,女性.胸部CTで,右肺上葉に多発する一部軟部組織濃度を含むすりガラス状陰影と,前縦隔に2個の充実性腫瘤が認められた.FDG-PET/CTで前縦隔右側の腫瘤に高集積を認めたが,前縦隔左側の腫瘤,右肺上葉の多発肺腫瘤および肺門縦隔リンパ節には有意な集積は認めなかった.経気管支肺生検で右上葉S2の最大の腫瘤から高分化腺癌,CT下経皮針生検で前縦隔右側の腫瘤からカルチノイドの診断が得られた.左側縦隔腫瘤に対しての生検は行わなかった.両側からの胸腔鏡アプローチで右上葉切除とリンパ節郭清,胸腺全摘を行った.病理診断は多発肺腺癌(右上葉に3個の置換性増殖優位型の腺癌)で,リンパ節転移は認めなかった.右側前縦隔腫瘤は胸腺定型カルチノイド,左側前縦隔腫瘤は混合型胸腺上皮性腫瘍(type B3>B2胸腺腫)であった.肺腺癌に対する術後補助化学治療としてUFT内服を開始し20か月経過した現在,無再発で外来通院中である.結論.本例では多発悪性腫瘍を完全切除し得たが,多彩な悪性腫瘍,特に胸腺関連腫瘍を有する症例であり,再発以外に他臓器癌の発生も含めた厳重な経過観察が必要と考えられる.
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© 2013 日本肺癌学会
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