抄録
目的.肺癌切除術における手術の安全性(手術リスク)は30日死亡率で評価されるが,90日死亡率の,その指標としての妥当性は不明確である.90日死亡率について手術リスク評価の有用性を検討する.方法.原発性肺癌手術例2207例を前期群(1996~2004年;1070例)と後期群(2005~2010年;1137例)に分け,術後1年以内死亡例(前/後期群:66/34例)の死因(再発,出血,突然死,肺合併症,化学療法の有害事象),30日死亡率,90日死亡率について検討した.結果.30日死亡率は前/後期群:0.56%/0.35%であり,90日死亡率は前/後期群:0.75%/0.79%であった.1年以内死亡症例の死因別の検討では,再発75例,出血死または突然死7例で,それぞれの術後生存期間は91日以上,30日以内であった.肺合併症死亡症例は前期群8例,後期群8例で,術後生存期間中央値は前期群67日(20-142日),後期群100日(47-149日)であり,特に後期群において30日以内に死亡した症例は認めなかった.結論.30日死亡率だけでなく,90日死亡率も肺癌切除術の手術リスクを評価する1つの指標として有用である.