肺癌
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症例
人工呼吸管理を要し,3,4-diaminopyridineが奏効した肺小細胞癌によるLambert-Eaton筋無力症候群の1例
福原 和秀中野 喜久雄鳥居 剛益田 武
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 54 巻 7 号 p. 962-968

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抄録

背景.急性呼吸不全を呈するLambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)は稀である.今回我々は肺小細胞癌に合併し急性呼吸不全を呈したLEMSに対し,化学放射線療法と3,4-diaminopyridine投与により改善した1例を経験したので報告する.症例.59歳,男性.20XX-1年9月頃から両下肢脱力感,筋力低下を自覚していた.20XX年1月に当院神経内科を紹介受診し,LEMSと診断された.CTにて縦隔リンパ節腫大を認め,縦隔鏡下生検で小細胞癌と診断された.肺内,他臓器に明らかな原発巣は認めず,LEMSを合併したcT0N2M0肺小細胞癌と診断した.呼吸筋低下から急性呼吸不全をきたし,人工呼吸管理下にcarboplatin+etoposideによる化学療法を施行し,腫瘍の縮小を認めた.さらに3,4-diaminopyridineの投与で速やかな筋無力症状の改善が得られ,その後の化学放射線療法が完遂できた.結論.LEMS合併の肺小細胞癌において,3,4-diaminopyridine投与は支持療法として有用であった.

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© 2014 日本肺癌学会
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