肺癌
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症例
EGFR-TKIによるざ瘡様皮疹に対しアダパレンが有効であった2例
立原 素子徳永 俊太郎田村 大介小林 和幸船田 泰弘西村 善博
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2014 年 54 巻 7 号 p. 978-982

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抄録

背景.上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)は,EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対するkey drugであるが,高率に皮疹を生じ,そのマネージメントに苦慮する場合がある.症例.症例1.47歳,男性.肺腺癌(cT4N3M1b, stage IV, EGFR exon 19 deletion陽性)に対し,二次治療としてエルロチニブを開始した.前胸部のざ瘡様皮疹に対し,ステロイド外用剤を使用したが増悪したため,アダパレン(0.1%)の塗布を開始した.1か月後には皮疹の改善がみられた.症例2.70歳,男性.肺腺癌(cT1aN1M1b, stage IV, EGFR L858R陽性)に対し,二次治療でゲフィチニブを開始した.背部にざ瘡様皮疹が出現し,ステロイド外用剤で一度改善したがその後増悪したため,アダパレン(0.1%)を塗布した.塗布17日目には皮疹の著明な改善を認めた.結論.ステロイド外用剤で改善しないEGFR-TKIによる皮疹に対し,アダパレンが有用である可能性が示唆された.アダパレンの適応と投与法について今後検討が必要である.

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© 2014 日本肺癌学会
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