抄録
背景.肺クリプトコッカス症は肺内に単発の結節影を呈することがあり,しばしば肺癌との鑑別が問題になる.最近,孤立性肺結節影を呈した肺クリプトコッカス症の2例を経験したので報告する.症例.症例1は検診で胸部異常陰影を指摘され,症例2は高血圧で通院中に撮影した胸部X線にて指摘された.胸部CTでは,ともに散布影を認めず,spiculationと胸膜陥入を伴うとともに増大傾向を示した.肺癌が疑われたが,気管支鏡検査で診断がつかず,外科的切除を施行し,肺クリプトコッカス症の診断がついた.術後3か月間アゾール系真菌薬で治療し,再発を認めていない.結論.肺癌が疑われた肺クリプトコッカス症の2例を経験した.肺クリプトコッカス症は,肺癌との画像所見上の鑑別が困難なことが多い.肺癌が否定できない症例では,診断と治療を兼ねた外科的切除が有用であると考える.