肺癌
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症例
肺類上皮血管内皮腫の2例
石井 奏松本 勲高田 宗尚田村 昌也斉藤 大輔竹村 博文
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2016 年 56 巻 7 号 p. 1028-1033

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抄録

背景.類上皮血管内皮腫は血管内皮由来の非上皮性腫瘍で,肺や肝などに発生する極めて稀な腫瘍である.術前診断が困難であった肺類上皮血管内皮腫の2例を経験したので,報告する.症例1.67歳,男性.検診の胸部X線写真にて胸部異常陰影を指摘された.胸部CT検査では左S1+2を中心にS6にまたがる1.5 cm大の結節を認めた.左肺癌を疑い,左肺上葉切除およびS6部分切除を施行した.術中迅速診断では腺癌で,ND2a-1を施行した.術後病理診断は,CD31,CD34陽性であり,類上皮血管内皮腫と診断.術後12年で再発なく経過観察中である.症例2.64歳,女性.咳嗽を認め前医受診.胸部X線写真および胸部CTにて多発肺結節を認め,当科に紹介された.腹部MRIでは肝臓にも多発結節を認めた.悪性疾患の原発巣と考えられる病変は同定し得ず,診断目的に右肺部分切除を行った.病理診断で,CD31,CD34,factor VIII陽性であり,類上皮血管内皮腫と診断.術後1年半で,経過観察中であるが増悪はない.結論.肺類上皮血管内皮腫の2例を経験した.術前診断が困難で,確定診断には外科的生検,免疫組織学的診断が有用である.

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© 2016 日本肺癌学会
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