2017 年 57 巻 2 号 p. 107-112
背景.Large cell neuroendocrine carcinoma(LCNEC)に他の組織型が合併したcombined LCNECの臨床的特徴や治療法は明らかでない.初診時肺膿瘍が疑われた若年者combined LCNECの1切除例を報告する.症例.36歳男性.2か月前より38~39℃の発熱と右上葉に腫瘤様陰影を認め,前医初診時炎症反応が上昇していた.肺膿瘍を疑って抗菌薬治療を行ったが効果なく,PETで右肺腫瘤に高集積を認め,気管支鏡検査で非小細胞肺癌cT3N0M0 Stage IIBと診断された.右上葉切除術を施行し,術後病理では腺癌を伴ったcombined LCNECと診断された.術後発熱は見られず,WBCとCRPは術後1か月目には正常化した.補助化学療法としてCDDP+CPT-11を4コース施行し,術後2年7か月再発を認めていない.結論.若年者combined LCNECに対し手術と補助化学療法を行い良好な成績を得た.Combined LCNECの治療法や予後はLCNECに類似するとされてきたが,症例の検討から合併する組織型によって経過や予後が異なる可能性が示唆された.