肺癌
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症例
肺原発リンパ上皮腫様癌と鑑別を要した非角化型扁平上皮癌の1例
渋谷 幸見河内 利賢武井 秀史藤原 正親菅間 博近藤 晴彦
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2017 年 57 巻 2 号 p. 118-123

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抄録

背景.リンパ上皮腫様癌(lymphoepithelioma-like carcinoma:LELC)は,上咽頭癌の一種であるリンパ上皮腫と類似した組織形態を呈する非常に稀な腫瘍である.症例.65歳男性.CTで左下葉に結節影を指摘され,増大傾向が認められたため,開胸生検の方針となった.術中迅速診断で低分化癌と診断され,左下葉切除術を施行した.病理組織学的には,LELCと矛盾しない所見であった.WHO分類第4版では,LELCと診断するためにはEpstein-Barrウイルス(EBV)の関与が証明される必要がある.本症例ではin situ hybridizationや免疫染色でEBV感染が証明されなかったため,炎症細胞浸潤を伴う非角化型扁平上皮癌と診断された.術後1年3ヶ月経過し無再発生存中である.結論.Hematoxylin-eosin(HE)染色でLELCの所見を有するが,EBV陰性の症例を経験した.LELCは低分化癌に比べ予後良好であり,慎重に診断するべきであると考えられる.EBV陰性でLELCの組織形態を呈する症例をどのように扱っていくかが課題である.

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© 2017 日本肺癌学会
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