肺癌
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原著
自動縫合器を用いた肺悪性腫瘍切除後の肺実質切除断端肉芽腫と断端再発の鑑別
水野 潔道大出 泰久林 祥子保浦 慶之清水 麗子茅田 洋之児嶋 秀晃髙橋 祥司井坂 光宏
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2017 年 57 巻 7 号 p. 826-831

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抄録

目的.ステープラーによる肺実質切離を行った悪性腫瘍術後の断端肉芽腫と断端再発の臨床的鑑別点を明らかにする.方法.当院において2002年9月から2016年12月までに病理診断を得た断端肉芽腫4例,断端再発10例を比較検討した.結果.手術から腫瘤出現までの期間(DFI)は断端肉芽腫では平均値28.0±13.5ヶ月,断端再発では19.1±13.4ヶ月であった.SUVmaxは平均値4.8±2.9と7.5±3.6,術前CEAはそれぞれ2.5±0.7 ng/dlと12.2±25.3 ng/dlであり,いずれも統計学的に有意差を認めなかった.肉芽腫では全例においてCEAは5 ng/dl未満で,断端再発では全例がSUVmaxが2以上であった.また,肉芽腫では全例肺切除時のステープルラインが腫瘤の辺縁に位置していたが,再発例では10例中4例で腫瘤の中央に位置していた.結論.DFIが短い,PETのFDG集積が高い,CEAが高値,ステープルラインが腫瘤の中心に存在する場合は断端再発をより疑い,経皮生検など,積極的に病理学的診断をつけることが望ましい.

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© 2017 日本肺癌学会
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