肺癌
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総説
N2非小細胞肺癌に対する外科治療
杉本 誠一郎豊岡 伸一
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 59 巻 7 号 p. 1129-1133

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抄録

N2陽性の非小細胞肺癌では,局所の制御を目的とした放射線治療や手術と,遠隔転移の制御を目的とした化学療法を組み合わせた集学的治療が行われてきた.N2非小細胞肺癌に対する導入療法後手術の有用性が示唆されていたが,第III相試験では,根治的化学放射線療法と比較した導入療法後手術の優越性は証明されていないのが現状である.しかし,切除可能なN2非小細胞肺癌で,特に肺葉切除術が可能な場合には,導入化学放射線療法後の手術の有用性が示唆されており,治療の選択肢として考慮すべきである.また,最近では新しい治療薬として免疫チェックポイント阻害剤が登場し,切除不能III期非小細胞肺癌に対して,化学放射線療法との逐次併用による有用性が示され,治療の選択肢が増えている.本稿では,N2非小細胞肺癌に対する導入療法後手術の臨床試験を概説し,当院における導入放射線化学療法後手術の周術期管理や手術の工夫を述べるとともに,今後の展望について述べる.

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© 2019 日本肺癌学会
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