2021 年 61 巻 7 号 p. 919-923
免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の登場によって進行再発非小細胞肺癌(NSCLC)の治療法は大きく変化した.IV期NSCLCにおいてはドライバー遺伝子を有さないNSCLCが主な適応とされているが,1次治療から2次治療以降にわたるまでICIs単独療法と殺細胞性薬物療法との併用療法も含めて,幅広く使われるようになった.近年ではICIsの2剤併用療法も使用可能となっている.一方で切除不能III期局所進行肺癌では放射線化学療法後の維持療法としての有効性も示され,実臨床で使用可能となった.このような進行肺癌における治療成績を踏まえ,早期である切除可能NSCLCに対してもICIsの有効性が期待されることとなった.周術期治療として主にII~III期のNSCLCを対象に,多くの第III相試験が進行中であり,一部は承認申請に至っている薬剤もある.ただ,その使用においては周術期の合併症や免疫学的有害事象の問題など,注意すべき課題もある.