肺癌
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原著
当院における細胞診用検体による包括的遺伝子変異検査システムの検査結果について
長谷川 幸裕森本 武史三浦 大萩原 弘一
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2022 年 62 巻 3 号 p. 200-206

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抄録

目的.当院で採取された細胞診用検体(以下細胞検体)における次世代シークエンサーを用いた包括的遺伝子変異検査システム(MINtS)の検査結果について報告する.方法.当院にて気管支鏡検査などにより採取された種々の細胞検体を北東日本研究機構021A研究に登録し送付.EGFR,KRAS,BRAF及びHER2各変異遺伝子とALK,RET,ROS1各融合遺伝子を解析した.結果.送付検体は2015年12月から2019年6月までの1298検体で,肺腺癌の602検体中EGFR遺伝子変異が164検体(27.2%)で,非喫煙者97検体(48%)と女性97検体(47%)が有意に多かった(P<0.01).又,KRAS遺伝子変異は89検体(15%)で,喫煙者が72検体(20%)と有意に多かった(P<0.01).市販のEGFR遺伝子検査(コバスver2.0)が肺腺癌患者380症例で行われ,MINtSの結果に対する陽性一致率が82.6%,陰性一致率が95.2%であった.結論.組織検体よりも容易に取得しやすい細胞検体によるMINtSは,今後の肺癌患者の次世代包括的遺伝子検査方法として有望と考えた.

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© 2022 日本肺癌学会
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