肺癌
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症例
免疫チェックポイント阻害薬と化学療法併用後に腎障害を発症しステロイド投与と一時的血液透析併用で改善し得た1例
鎌田 弘毅四十坊 直貴角 俊行山田 裕一中田 尚志森 裕二千葉 弘文
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2022 年 62 巻 3 号 p. 221-226

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抄録

背景.免疫チェックポイント阻害薬は非小細胞肺癌の標準治療の一つで有害事象の管理が重要である.免疫関連腎障害の多くはステロイドへの反応は良好だが一部にステロイド抵抗性を認め腎機能障害の遷延は予後悪化と関連する.ステロイド抵抗性時の追加治療は定まっていない.症例.72歳男性 肺扁平上皮癌cT3N2M0 stage IIIBと診断し初回治療でカルボプラチン,ナブパクリタキセルおよびペムブロリズマブを開始し最良効果は部分奏効だった.3コース目施行時に2型糖尿病が悪化し精査入院した.血糖コントロール良好だったが第8病日に倦怠感の増強と血清クレアチニン(S-Cr)の上昇があり補液,抗菌薬治療を開始も腎機能は増悪した.免疫関連腎障害を疑い第11病日にステロイドパルス療法開始も腎機能は悪化し第13病日に血液透析(hemodialysis:HD)を開始した.腎機能は改善しHDを離脱でき第26病日にS-Crはベースラインまで改善した.その後ステロイドを漸減しているが腎機能の再増悪はない.結論.比較的早期発症の免疫関連腎障害を経験した.早期のステロイド投与と経過に応じた一時的なHD併用で腎機能障害を残存しない可能性がある.

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© 2022 日本肺癌学会
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