抄録
癌の増殖動態に関する報告は, その数も多い. 従来からそれら増殖曲線に対しexponentialとlogistic curveが適用され, その適合が試みられている. しかし, これら増殖曲線モデルでは, 臨床的に特に生物学的な意味付けを行うには十分とは考えられない.
一般的に, 癌組織のgrowth fractionには, proliferating cell populationとnon-proliferating cell populationとがあると考えられている. そこで, これらを考慮に入れた新しい増殖モデルを試案し, 肺癌への適合を試みた. これによると肺転移発生が, ほぼ原発巣発生時期に一致し臨床的にもうなずけることが判った.