肺癌
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気管支喘息に合併した気管支原発Granular Cell Tumorの1例
加藤 聡之嶋内 明美進藤 丈堀場 通明原 通広林 博文
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1993 年 33 巻 1 号 p. 121-128

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抄録

granular cell tumor (顆粒細胞腫) は, その組織起源は筋原説, 神経細胞原説などが言われ, 多くは良性腫瘍で, 全身の種々の臓器に認められるが, 気管・気管支・肺に発生するものは稀である. 我々は気管支喘息に合併した, 気管支原発のgranular cell tumorの1例を経験した. 症例は53歳男性, 気管支喘息で通院加療中に咽頭部不快感を訴えたため, 気管支鏡検査を施行した. 左底幹入口部に白色調の表面平滑で一部結節状の硬い隆起性病変を認めた. 同部の生検組織像では, 豊富な細胞質に好酸性でPAS陽性の微細顆粒が充満し, S-100蛋白陽性の大型腫瘍細胞を認め, granular cell tumorと診断された. 自験例は本邦で報告された気管・気管支・肺原発例の22例目に当たる. 多くは腫瘍を含めた肺切除が行われているが, 良性が多く, 発育も遅いため, 自験例は注意深く経過を観察中である.

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