肺癌
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術前化学療法後切除した縦隔原発Yolk Sac Tumorの1例
秋山 靖人近藤 治男木村 秀城野 良三藤井 義幸
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1995 年 35 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

症例は38歳, 男性. 検診で胸部X線写真上縦隔陰影の腫大を指摘され当科に精査目的にて入院. 胸部CTにて前縦隔に7×5cm大の内部不均一な充実性腫瘍を認め, さらに左肺に5mm大の小結節が確認された. 腫瘍マーカーでは, AFP 1102ng/mlと著明高値を認めた. 針生検を実施し, 胸腺癌が疑われたためCDDP+VDS+VP-16併用療法を1クール施行した. 治療後腫瘍は約40%縮小し, 左肺の小結節影は消失した. 化療後1ヵ月で腫瘍摘出術を実施し, 病理学的にyolk sac tumorと診断された. 術後局所への放射線照射 (40Gy) と並行してCDDP120mgの全身投与を2クール実施した. 術後5ヵ月で左肺に多発性の再発像を認めたが, CDDP+VP-16による化学療法を2クール行い, 再びCRを得ている. 縦隔原発のyolk sac tumorは特に予後の悪い腫瘍であるが化学療法を先行した集学的治療により長期生存を期待しうる症例もあると考えられた.

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