肺癌
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肺原発悪性リンパ腫の1例
坂本 直子武田 晃司中野 喜久雄平本 雄彦早川 正宣中村 憲二
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1996 年 36 巻 1 号 p. 61-66

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抄録
症例は50歳の男性.検診にて右下肺野のair bronchogramを伴う腫瘤状陰影を指摘された.気管支鏡下肺生検標本の組織像にて異型性の少ない小型リンパ球の密な増殖を認め, 悪性リンパ腫が否定できないことから右下葉切除術を施行された.切除標本の免疫染色像ではIgMλのみが陽性となり, また, flow cytometoryでは表面マーカーのCD19と20が著増しており, 表面免疫グロブリンのlgMλが著増していた.この結果, 肺原発の非ポジキンリンパ腫 (diffuse, small cell type) と診断した.Southern blot法による切除標本の遺伝子解析では免疫グロブリンのみに明らかな遺伝子再構成が認められ, 免疫染色の診断を裏付ける結果を得た.術後は後療法を行わず経過観察中であるが, 3年を経過した現在, 再発は認めていない.本疾患の診断には免疫組織染色に加え, 遺伝子再構成の確認が重要であると考えられる.
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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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