肺癌
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小腸転移を来したG-CSF産生肺大細胞癌の1例
千葉 幸夫加藤 泰史平松 義規佐々木 正人田中 宏和村岡 隆介
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1996 年 36 巻 7 号 p. 945-950

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抄録

症例は68歳男性で, 咳, 痰, 胸背部痛を主訴に来院.胸部X線写真上左上葉に腫瘤影を認め, 血液検査で, 白血球増多 (18,400/μl), 貧血, CRP高値 (9.10mg/ml) を認めた.肺癌の診断で左上葉, 胸壁合併切除術を行った.病理組織診断で, 大細胞癌, 第4肋骨, 第3, 4肋間筋浸潤と診断された.一年後にタール便を伴って高度白血球増多, 高度貧血, CRP高値を来すようになった.小腸造影, 腹部血管造影検査などから小腸腫瘍の診断の下, 小腸腫瘍切除術を行った.小腸腫瘍切除術前のG-CSF値は高値を示した.肺癌, 小腸腫瘍切除標本の抗rhG-CSF抗体による免疫組織染色では陽性所見を示し, G-CSF産生大細胞癌と, その小腸転移と考えられた.患者は肺癌手術後4年の現在, 再発もなく健在である.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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