肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
カルボプラチン・ドセタキセルによる化学療法でComplete Responseを得た胸腺癌と考えられた1症例
菊地 信也西 裕一福士 雅彦清水 禎彦坂本 芳雄
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 42 巻 3 号 p. 215-219

詳細
抄録

背景. 胸腺癌は胸腺腫と比較するとその発生頻度は少ない. 進行性胸腺癌に対して, プラチナ製剤をベースとした多剤併用化学療法が報告されているが, いまだ標準化学療法に関するコンセンサスは得られていない. 症例. 64歳男性. 主訴は呼吸苦.胸部エックス線写真上, 左前縦隔の腫瘤影と胸水を認め当院を紹介された. 胸部CTでは前縦隔腫瘍と左胸膜に沿って連続する結節状壁肥厚性病変が認められた. MRIでは病変は横隔膜を越えて後腹膜に浸潤していた. 経皮的CTガイド下肺生検で得られた検体の病理学的検索により多形性に富む異型細胞と壊死を伴う上皮性悪性腫瘍と診断. 腫瘍の主病変存在部位などから総合して胸腺癌, IVa期と考えられた. 病状の急速な悪化もあり, 非小細胞性肺癌に準じてカルボプラチン+ドセタキセルによる化学療法を施行したところ1コース終了後には著明な腫瘍縮小を認め, 合計4コース終了後complete responseが得られた. 血清中可溶性IL-2レセプター値は8330から730へと減少した.結論. カルボプラチンとドセタキセルの併用療法は胸腺癌の治療においてひとつの有望なレジメンであるかも知れない.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top