肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
Paclitaxelの投与により重篤な過敏反応を生じた2症例
西野 亮平駄賀 晴子三戸 晶子森谷 知恵大橋 信之有田 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 44 巻 2 号 p. 113-118

詳細
抄録

背景. PPaciitaxel (以下TAX) の過敏反応は適切な前投薬を行うにもかかわらず起こることがある. 症例. 症例1は75歳女性. 肺腺癌stage IIIBと診断し, carboplatin (以下CBDCA) +TAX毎週投与法を開始した. 1コース目の投与初日, TAXの投与開始3分後に呼吸困難と喘鳴を生じた. TAXの投与を中止しmethyiprednisoioneを投与した結果, 速やかに症状は軽快した. 症例2は52歳男性. 肺腺癌stager IVと診断し, CBDCA+TAX毎週投与法の治療を開始した. TAXの投与2回目にあたる2コース目の初日, TAXの投与7分後より呼吸困難を生じ, TAX中止の上methyiprednisoioneとepinephrineを投与するも数分後に心肺停止となった. 蘇生術を行ったが, 蘇生後脳症をきたした. 2例とも前投薬を施行したにもかかわらず過敏反応を生じ, また2例ともTAX投与前に末梢血好酸球数が増加していた. 結論. TAXの過敏反応の予防にヒスタミン受容体拮抗剤と副腎皮質ホルモン剤を投与する方法は広く行われているが完全ではない. 重篤な転帰をたどる症例が存在することを認識しておくべきである.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top