日本ハンセン病学会雑誌
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免疫不全症・自己炎症性疾患とハンセン病
金澤 伸雄
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2017 年 86 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

 ハンセン病はらい菌による感染症であるが、伝染病ではなく、むしろ宿主の免疫状態や反応によって病像が決まる「免疫病」とされる。同時に、「遺伝病」ではないが、宿主の遺伝的素因も大きく関与する。本稿では、免疫異常の病態を2つの「免疫ベクトル」で二次元的に展開し、筆者がこれまで経験してきたサルコイド様肉芽腫性病変を伴う原発性免疫不全症、遺伝性自己炎症性疾患であるブラウ症候群、鑑別が重要なサルコイドーシスなどとともに、類結核型とらい腫型のハンセン病をその平面上に位置付けることにより、これらの対比を明確にした。確かにハンセン病は先進国では消えゆく疾患であるかもしれないが、免疫学にかけがえのないモデルを提供し、その進歩に大きく寄与した。免疫抑制剤の進歩による再帰感染のリスクという新たな問題も出現し、現代においてなお、「古くて新しい」この疾患の存在意義は大きい。

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© 2017 日本ハンセン病学会
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