2024 年 92 巻 3 号 p. 71-77
ハンセン病後遺症による視覚障害者は、手指の変形や感覚障害のためロービジョンケアツールの使用が難しい場合が多い。症例の特性に応じた補装具や生活環境の提案でロービジョンケアを動機づけ、QOLの向上を目的とした。
視覚障害2~6級(ロービジョン者)26名と、障害等級に該当しないが見え方に不自由を感じる者(視覚困難者)18名に対し、聞き取り調査をし、効果があると思われる補装具の処方や使用の工夫、居住空間の安全確保、日常活動の利便性の獲得を検討した。
聞き取り調査で羞明はロービジョン者で半数、視覚困難者では約90%が不自由を感じていた。読み書きは介助があるため不自由の訴えは少ないが、食事配膳位置は2~3級で確認が難しくなる。聞き取り後、残存視覚を活用する訓練をおこなった。
ロービジョンケアで残存視覚を最大限活用する援助をすることにより、高齢化に伴う社会活動の低下を防ぐことが期待できると思われた。