日本らい学会雑誌
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ヌードマウスによる実験らい
高坂 健二米田 一男牧野 正直森 竜男伊藤 利根太郎
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1979 年 48 巻 1 号 p. 37-41

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抄録
Shepardが開発した方法にもとづき,ヌードマウスを用いて著者らがこれを一層発展させた実験動物らいが,らい研究における真の動物モデルとして確立され,広く研究に用いうる実験系になるためには,初代発症マウスの病巣内増殖菌が,次代接種マウスにおいても,初代と同様に増殖して病変を作るようでなければならない。そして由来の異なる患者材料でも同一疾病が再現される必要があり,従ってこれらを検討したのが本研究である。
ヌードマウス内増殖菌は,次代接種ヌードマウスにおいても顕著な経時的増菌と病変の進展を示し,病巣は病理組織学的にらい腫の病像を呈した。すなわち,病巣内増殖菌はヌードマウスにおいて継代可能であることが確認された。次いで実験の再現性については,最初にマウスを発症せしめた既報の材料以外に,現在までに由来の異なる8名の患者材料によってヌードマウスにらいの発症をきたし,再現性が立証された。これらの結果から,ヌードマウスの実験らいが確立され,らい研究の動物モデルとして利用できることが示された。従って,今後の広範な応用が期待される。また104の菌量接種では発症までに1ヵ年半以上もの長期間を要したが,105~106の菌量接種によりかなり短縮されて,早いものでは8カ月後に接種足蹠の腫脹を伴って発症し,1足当り1.1×1010の菌が算出された。
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