日本ハンセン病学会雑誌
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日本におけるハンセン病化学療法の現状
日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
後藤 正道宮城 茂樹瀧澤 英夫北島 信一
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1998 年 67 巻 2 号 p. 305-311

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抄録
わが国におけるハンセン病治療の現状を知るために、最近行われた3種類の全国調査すなわち1994年の厚生省化学療法研究班(瀧澤報告、71例)、1997年のその追跡結果(宮城報告、59例)、1996年のハンセン病患者数調査研究班(後藤報告、130例)の調査結果を比較・解析した。その結果、わが国では新患・再発症例のほとんどに二剤以上の薬剤の併用がおこなわれており、その中でもWHOの推奨するリファンピシン(RFP)とダプソン(DDS)、あるいはそれにクロファジミン(B663)を加えたいわゆるMDT方式の組み合わせが新患では約半数に、再発では約1/3に用いられていた。投与量や投与間隔についてもMDTに従うものが多いものの、少量投与も行われていた。また、40%の症例で治療経過中にキノロン剤(オフロキサシンOFLX)が使用されていた。瀧澤報告では境界反応が7例、ENLが6例あり、経過中約2割にこれらのらい反応が起こっていた。薬剤そのものの副作用は少ない。少数例をきちんと治療できる環境にあるわが国において、当初から神経炎や反応が起こっている症例の後遺症を減少させるための、B663単剤治療で開始する治療試案を提示する。
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