日本ハンセン病学会雑誌
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医師不足下でのハンセン病療養所の医療
佐藤 紘二
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2005 年 74 巻 3 号 p. 221-225

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抄録

近年、日本のハンセン病患者は、急激に減少し続けており、毎年200~250名の患者減となっている。この減少は、入園患者の高齢化と新規発生患者が殆どないことによる。患者が減ることは、ある面では悦ばしいことである。しかしながら、現在療養所では、さまざまな問題に直面している。最も大きな問題のひとつは療養所の医師不足である。不足の原因は、入所者の高齢化に伴う医療の需要が増えていることと単なる職場での医師不足である。一例として奄美和光園の現状をお示しする。当園は、国立療養所であり、園内外の患者を診る責務がある。現在、当園には、さまざまな程度に障害のある70名の長期入園ハンセン病後遺症患者と外来で診ている11名の社会復帰者がいる。更に、当園は、一般市民の診療も行っている。その数は年平均6,500~7,000件である。それらの患者は、種々の皮膚科的症状で受診している。当園の職員定員は100名であるが、現在、医師は2名である。実際には、医師が不足しているので、近隣の病院との数々の委託診療によって、患者の医療の需要に対応している。

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