発育発達研究
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不正咬合が身体発達に及ぼす影響について
吉川 和利宗高 弘子山口 立雄
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1998 年 1998 巻 26 号 p. 86-90

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抄録

大学・短大に在学中の女子学生 (81名) について, 歯科医師による咬合状態評定を行い, 正常咬合者と不正咬合者の体力・運動能力テスト, 形態測定値を比較検討した。結果は以下のようになる。
1) 不正咬合発現の頻度は正常咬合者63名, 不正咬合である者は18名であり, この発現比率は, 1971年に報告された同年齢の者とほぼ同じ比率であった。
2) 上顎前突を有する者は6名, 反対咬合者は3名, 切端咬合者は2名, 過蓋咬合者は6名, 開咬に相当する者は1名であった。
3) 不正咬合の有無が形態・体力測定値と関連しているか否かを検討するために平均値の比較をt検定により実施したところ, 個別の不正咬合に関しては, 上顎前突有りの者では形態12変数中の10変数, 体力14変数中5変数で優れた (大きい) 平均値を示した。
4) 同様に反対咬合有りの者は形態の3変数, 体力の3変数において優れていると考えられ, 切端咬合有りの者は形態の1変数, 体力の2変数において優れていることが観察された。また, 過蓋咬合有りの者が形態の3変数, 体力の9変数でそれぞれ優れた平均値を示した。

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