高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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ISSN-L : 1348-4818
原著
最軽度アルツハイマー病患者の自由書字 :
地域在住高齢者のMMSEによる検討
赤沼 恭子目黒 謙一橋本 竜作石井 洋森 悦朗
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2004 年 24 巻 4 号 p. 360-367

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抄録

地域在住高齢者 160名を対象に, MMSE自由書字を, 文字数, 漢字・仮名における文字形態の誤り, 文字運用に焦点をあて CDR別に分析した。CDR 0 は健常, CDR 0.5は最軽度アルツハイマー病, CDR 1+はアルツハイマー病である。その結果, 文字数は CDRが重症化するにしたがい減少傾向を示し, 文字形態は健常においても 30%に漢字もしくは仮名の誤りを生じていたが, CDR 0.5群もしくは 1+群において仮名を誤る対象者が多かった。文字運用は, 名詞においては CDR 0群と 0.5群では誤りに差はないものの CDR 1+群で誤りが多く, 送り仮名では CDR 0.5群で誤りが多くみられた。文字運用に注目した場合, 漢字と仮名で構成された送り仮名 (綴り) の誤りは最軽度アルツハイマー病という病的過程を反映している可能性が示唆された。

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© 2004 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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