高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
  • 目黒 祐子, 松田 実, 佐藤 健一, 佐々木 達也
    2023 年 43 巻 4 号 p. 248-257
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/16
    ジャーナル フリー

      もやもや病による右前頭葉の脳梗塞で言語障害と視空間認知障害を呈した症例を報告した。本例の言語障害は, ①プロソディ障害を主症状とする発語失行と②助詞の脱落や誤用, 構文理解障害を主症状とする文法障害との 2 つの要因から構成されていた。右利き患者で右半球病巣による発語失行や失文法の既報告例と症状や病巣を比較検討した。発語失行や文法障害の症状には大きな違いはなかったが, 病巣的には微妙な違いがあると考えられ, もやもや病による慢性的な虚血性の機能障害が関与していると考えられた。また右前大脳動脈 (ACA) 領域の損傷がありながら発話意欲が急速に回復し, プロソディ障害のみが残存したことが特徴的であった。慢性的な虚血性障害や機能再編成が, 言語の側性化を含む言語機能の脳内分布にも何らかの影響を与えている可能性も無視できないと考えられた。

  • 千葉 朋子, 佐藤 睦子, 元木 千尋, 金子 知香子
    2023 年 43 巻 4 号 p. 258-265
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/16
    ジャーナル フリー

      Nurturing 症候群がフレゴリの錯覚に移行した右中大脳動脈領域梗塞の 1 例を報告した。症例は 75 歳女性で, 8 年前に夫と死別してからは独居だった。左片麻痺をきたす脳梗塞を発症し当院に緊急入院した。本例は, 個室に入院中は夫が健在であるかの如くふるまい続け (nurturing 症候群) , 回復期病院に移ると周囲の男性患者を夫に誤認するようになった (フレゴリの錯覚) 。本例の nurturing 症候群とフレゴリの錯覚には, 夫への思慕が呼び起こした自伝的記憶と, それに伴う情動が共通してあると思われた。 また, 故人が現世に存在するという不合理な信念が持続した背景には, 右前頭葉の機能低下が関与していると考えられた。さらに本例の示した経過から, nurturing 症候群とフレゴリの錯覚とを分ける要因として第 1 に考えられたのは, 患者をとりまく人的環境だった。

  • 唐澤 健太, 春原 則子
    2023 年 43 巻 4 号 p. 266-274
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/16
    ジャーナル フリー

      単純ヘルペス脳炎によって表層失読を呈した語義失語例を報告する。本例の障害機序を検討するため, 漢字刺激を用いた実在語と非語の音読課題, 文字判断課題, 語彙判断課題を実施した。その結果, 実在語の音読成績には頻度および一貫性効果を認め, LARC エラーが多かった。非語は正答数が多いものの, 一部の刺激にて語彙化錯読が認められた。誤反応であっても過半数では 1 文字目は正しく音読した。文字判断や語彙性判断課題では, 非文字や非語を日本語にあると反応する誤りが多かった。二重経路モデルから本例の障害機序を分析すると, 実在語では意味システムの障害により LARC エラーが出現したと考える。 非語では文字認知や語彙判断の障害により語彙ルートが誤って活性し, 1 文字目の音から喚起された語を表出することで語彙化錯読が出現したと考える。

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