左頭頂後頭葉皮質下出血により,横書き仮名単語の音読で逐字読みと全体読みのどちらでも右端の音読が困難になり,失書が合併した仮名に選択的な純粋失読症例を経験した。失読に至る要因を明らかにするため,症例に対し,①音読時の文字数効果の検証,②縦書きと横書き単語音読成績,③呈示時間制限下での書字方向別単語全体読み成績,④非言語視覚情報処理能力を検証した。その結果,①文字数効果あり,逐字読みでおおむね正確に音読が可能も形態類似性エラーあり,②縦書きに比べ横書きの音読時間延長,③縦書きに比べ横書きで成績低下,語尾に頻回な音韻性エラー,④刺激右側の異同弁別において左側に比べ反応時間延長がみられた。これらのことから,左頭頂後頭葉皮質下損傷において,横書き単語の音読に特徴的な失読症状をもたらす可能性が示唆された。