高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム II : 記憶障害の神経基盤
間脳性健忘
西尾 慶之森 悦朗
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2011 年 31 巻 3 号 p. 294-300

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抄録

海馬から脳弓を介し, 乳頭体, 乳頭体視床路, 視床前核, 後部帯状回を経て海馬へ戻る回路は Papez または Delay-Brion 回路と呼ばれ, 記憶に関わるもっとも重要な神経回路であると見なされている。加えて, 周嗅皮質や嗅内皮質から視床背内側核を経て前頭前野へ投射する神経回路の役割も注目されている。視床前核や乳頭体視床路などの Papez 回路を構成する構造の損傷が長年重要視されてきたが, 過去の神経心理研究の再検討や視床灰白隆起動脈領域梗塞についての筆者の最近の研究の結果から, 間脳性健忘においては2 つの回路が同時に破綻していることが示唆された。

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© 2011 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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