2013 年 33 巻 4 号 p. 388-394
頚動脈狭窄症に対する血行再建術のひとつである頚動脈内膜剥離術 (CEA) を施行される頚動脈狭窄症例に対し, 手術前と術後 7 日にMontreal Cognitive Assessment(MoCA) とMini-Mental State Examination(MMSE) を実施し, 術前後の違いについて項目ごと, 手術側ごとに検討した。対象はADL が自立している, 失語, 失行, 失認を認めない 22 例であった。結果, 術後20 例で認知機能を評価し得, MMSE では術前後に有意な変化がなかったが, MoCA では有意な点数の向上を認めた。下位項目の検討では MoCA の遅延再生が有意に改善していた。左側に手術を施行された群で MoCA の総得点に有意な改善があり, 下位項目の検討では視空間・実行系と遅延再生が有意に改善していた。MoCA は, CEA 前後の軽微な高次脳機能の変化を捉えうる可能性があり, 特に CEA 手術側が左側の症例では, 遂行機能や言語記憶といった高次脳機能が改善する可能性があると考えられた。