抄録
本論文では, 我々が開発した認知症マススクリーニング検査アプリケーション Cognitive Assessment for Dementia, iPad version (CADi) の集団健診での運用結果に関して報告する。我々は島根県内の 4 市町 10 地区の健診においてCADi を運用し, 2437 名に対して認知症スクリーニングを行った。iPad の並列運用により一日平均で 74 名, 最大 104 名のスクリーニング検査を行うことができた。CADi 10 点満点中 5 点以下, もしくは総反応時間 300 秒以上を基準として二次検査 (n = 91) を行ったところ, そのうち20 名 (22%) が加療の必要ありと判定され, 軽度の認知機能低下あるいは認知症高リスクのため 38 名 (42%) が経過観察とされた。これらの結果は, CADi が集団健診における全数検査も可能であり, マススクリーニングに有用であることを示唆している。一方, 検出精度的の向上を図る必要があることも示された。