2019 年 39 巻 1 号 p. 10-17
統合失調症患者への発散的思考検査として, 修正版 The Tinkertoy Test (TTT) 採点基準の実用性, 信頼性と妥当性を検証した。修正版 TTT, デザイン流暢性検査 (Design Fluency Test : DFT) , アイディア流暢性検査 (Idea Fluency Test : IFT) , 統合失調症認知機能簡易評価尺度 (The Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia : BACS) 内のロンドン塔課題を実施した。統合失調症群 45 名, 健常群 35 名を対象とした結果, 統合失調症群は検査成績が有意に低かった。次に修正版 TTT 採点基準の Cronbachʼs α 係数は統合失調症群 0.82, 健常群 0.81 であり, 対象によらず一貫して測定可能であることが示された。 また修正版 TTT 総合計点と DFT, IFT 間の相関分析から有意な正の相関が複数の項目で認められ, 基準関連妥当性が確認された。これらの結果から, 修正版 TTT は信頼性および妥当性を有し, 統合失調症患者の発散的思考検査として有用であることが示唆された。