高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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身体障害を伴わない失語症者の日常生活上の困難に関する実態調査
種村 純中島 八十一植谷 利英
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2021 年 41 巻 1 号 p. 72-77

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抄録

  身体障害を伴わない失語症者を対象としてその生活障害を調査し, 失語症者に必要となる支援項目および言語障害の重症度水準と実際の生活障害の関連性について検討した。対象者は片麻痺を合併しない生活期失語症者 38 名であった。言語機能は単語あるいは短文の理解可能な者が 100% , 単語あるいは短文の発話可能な者が 34% であった。身体障害を伴わない失語症者において聴覚的理解は良好な回復を示したが, 発話には障害が残存し, コミュニケーション機能に関連した個人生活・社会生活に援助を必要とした。失語症の重症度に応じて異なった社会的支援が必要で, コミュニケーションを要する社会活動には軽度であっても支援が必要であった。また, 発話に困難が残る比較的重度の失語症者では社会生活全般にわたる援助が必要であった。

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© 2021 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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