人間生活文化研究
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報告
小鹿野歌舞伎における三番叟について(2)
―その歴史的背景をさぐる(2)―
安倍 希美
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2019 年 2019 巻 29 号 p. 65-73

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抄録

 大和座の音羽屋三代目彦五郎は,戦後日本の再生を願い昭和21 年十六様と昭和25 年津谷木で,同じ三番叟を振り付け指導し,演者は共に井上晢男氏であった.津谷木で今でも継続されているこの三番叟を「彦五郎型」と改称する.百歳まで生きた石川竹次氏は,春日町屋台の修復の節目にお祝いの三番叟を演じ,また戦前も大和座の三枝健市氏の指導にて三番叟を演じていた可能性がある.飯田坂東彦五郎こと浅井宇市氏は,江戸で歌舞伎を修行したと言われ,洗練されたセンスと技の経験が「八井型」に生かされている可能性は大きい.今後,天王座の三番叟については天王座員が行っていた人形芝居等や,また神楽の動きを参考にすること等により,全般的に三番叟の理解が深まる可能性が考えられる.

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© 2018 大妻女子大学人間生活文化研究所
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