本研究では,高等教育機関における初年次学生を対象に,日本語科目を通じて「敬語力」の育成を目指し,教員から与えられた目標ではなく,自ら学修目標や学修計画(授業以外の時間における経験学修)を考え,実践し,自身の経験を協働で振り返る時間(協働評価学修)を設ける経験学修モデルを実践した.実践の効果は,客観的尺度として事前事後に実施した敬語テスト,主観的尺度として事前事後に実施した授業アンケートより測定することとした.
調査の結果,定量的データ,定性的データの両方より授業効果を確認することができ,さらに,記述式アンケート結果より,受講学生の「敬語力」が醸成された可能性を確認することができた.また,事前テストから事後テストにかけて最も得点上昇率が高かった学生は,過去1か月に最も読書冊数が多かった.また,事前敬語テストの結果が上位25%の学生について,「1週間のアルバイトの時間の長さ」,「1週間の地域の人々との会話時間の長さ」「1週間の学内における教職員との会話時間の長さ」の相関性が確認された.