2021 年 10 巻 1 号 p. 23-29
アレムツズマブはリンパ球に広く発現するCD52に対する抗体で,半減期が長いことが特徴である。移植前処置として投与することでレシピエントT細胞を抑えて拒絶を予防するとともに,移植後も長く有効血中濃度が保たれることでドナーT細胞を抑えて移植片対宿主病(GVHD)を予防し,HLA不適合の大きいハプロアイデンティカルドナーからのハプロ移植を可能としている。ウイルス感染症に対する対策には工夫が必要であるが,アレムツズマブを用いたハプロ移植は進行期造血器疾患に対して安全に行い得る治療であることがこれまでの臨床試験において示されている。ただし非寛解期移植での移植後再発・再燃が多い問題は疾患リスクごとのプロトコールで行っている最新の臨床試験においても依然克服できておらず,アレムツズマブや移植後免疫抑制剤の投与方法のさらなる調整の他,早期ドナーリンパ球輸注などによって移植後の抗腫瘍免疫を高める検討が必要である。