日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
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総説
急性骨髄性白血病の造血幹細胞移植における遺伝子変異解析の実臨床への応用
山口 博樹
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2021 年 10 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia,AML)は,近年の遺伝子変異解析技術の進歩によってその発症や再発に関与をする多くの遺伝子変異が発見された。こうしたゲノム解析の結果は予後因子や微少残存病変マーカーとして臨床応用をされるだけでなく新規の分子標的薬創薬に貢献をしている。実際に欧米からは第一世代FLT3阻害薬,IDH1/2阻害薬,BCL2阻害薬など多くの新規薬剤が登場をし,本邦からも第二世代FLT3阻害薬のGilteritinibやQuizartinibの登場でAMLの治療成績が向上しつつある。しかし欧米とのドラッグラグが依然として大きく,欧米の治療ガイドラインを本邦の実臨床にあてはめることはできない。そこで本稿では現在の本邦でのAMLの実臨床において遺伝子診断によるAMLの予後層別化や同種造血幹細胞移植の適応を概説する。

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© 2021 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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