2013 年 2 巻 3 号 p. 70-74
小児再生不良性貧血(AA)に対する同種造血幹細胞移植は高い生存率を達成し,移植治療が将来の生活・健康状態に与える影響が重要な評価事項である。そこで,小児AAの治療をさらに改善させるための基礎資料とすることを目的として,当施設において18歳未満で同種移植を受け20歳以上となったAA症例を対象とし,生活・健康状態について横断的調査を行い,18名中12名(66.7%)から回答が得られた。2名のFanconi貧血患者を除くと-2SD以下の低身長は10名中1名であった。女性10名中8名は月経があり,既婚の3名中2名が4回の妊娠で3名の健児を出産していた。Performancestatus(PS)は12名中9名が0であった。同種移植を受けた小児AA患者の多くは良好な健康状態であると示唆された一方で,PSの低下した例や無月経の症例もみられた。小児AAに対する同種移植法のさらなる改善のためにも,前向きなフォローアップ体制を整備し,本研究のような基礎資料をさらに集積させることが重要である。