抄録
HLA一致同胞が得られない慢性肉芽腫症における代替の移植細胞源や,重篤な合併症を伴う症例に対する前処置は確立していない。当院で移植を施行した慢性肉芽腫症4例の臨床経過を報告する。症例1はHLA1抗原不一致同胞から全身放射線照射(total body irradiation, TBI)を含む骨髄破壊的前処置を行い,5年後に二次がんを発症し死亡した。症例2,3(再移植)はHLA一致同胞より低線量TBIを併用した骨髄非破壊的前処置(Reduced intensityconditioning, RIC)により生着した。症例4は合併症管理に難渋し,代替ドナーから低線量TBIを用いたRICにより移植したが生着前に敗血症を合併し死亡した。HLA一致同胞が得られればRICに低線量TBIを併用し長期に生着が得られる可能性があるが,代替ドナーの場合や重篤な合併症を伴う症例に対するRICの適応は更なる検討が必要である。