抄録
症例は14歳の男児。輸血依存の小児不応性貧血に対し,HLA一致同胞間骨髄移植を行った。前処置は抗胸腺免疫グロブリン1.25mg/kg×4日間,シクロフォスファミド(CY)50mg/kg×4日間,全身放射線照射3Gyとした。移植前の輸血総量は赤血球12単位,血小板110単位であった。輸注後day 3の午後から心不全徴候がみられ,day 4の未明に無脈性電気活動となり,蘇生に反応せず死亡した。病理解剖では薬剤性心筋障害が第一に考えられた。FANC関連遺伝子の異常はみられなかった。移植成績の向上に伴い,高用量CYによる心毒性の重要性が増している。輸血回数が多く心不全のリスクが高いとされる非血縁間移植ではCYを減量した前処置が先行して行われているが,本例のような心不全の予測が困難な例の経験を踏まえ,フルダラビンの併用等による血縁間移植でのCY減量の可能性について,前向き試験により検証されるべきと考える。