日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
研究報告
一酸化炭素肺拡散能の血色素量補正法の違いがもたらすHCT-CI評価の不安定性
横山 泰久栗田 尚樹関 正則伊藤 由布武藤 秀治鈴木 幸恵加藤 貴康長谷川 雄一千葉 滋
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2015 年 4 巻 4 号 p. 108-114

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抄録

 Hematopoietic cell transplantation-specific comorbidity index(HCT-CI)では,呼吸機能障害の判定に一酸化炭素肺拡散能(DLCO)が用いられる。当院の移植患者について,DLCOのHb補正法の違いがHCT-CIに与える影響を後方視的に解析した。Cotes法による補正ではDinakara法よりもDLCOが有意に低値となった。その結果,Cotes法では75.3%において呼吸機能障害があると判定されたのに対し,Dinakara法では77.4%において障害がないと判定された。HCT-CIでは,63.4%でCotes法の方がDinakara法よりもリスクを高く評価された。HCT-CIは臨床試験やデータベースにも用いられている指標であり,Hb補正法を統一しなければ,試験間の比較は困難となり,データベースの信頼性も損なわれる。

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© 2015 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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