抄録
侵襲性真菌感染症(IFD)は同種造血細胞移植(allo-HSCT)後の生命を脅かす感染性合併症の一つであり,主要な起因菌はカンジダとアスペルギルスである。カンジダ症は主に好中球減少および粘膜障害のみられる移植後早期にみられ,一方でアスペルギルス症は移植後早期に加え,それ以降の時期にもみられる。防護環境は効果的にアスペルギルス症を予防出来るため,移植後早期ではHEPAフィルターを用いた無菌的空調管理(防護環境)での治療が推奨され,その場合はカンジダ症に予防の主眼を置く。急性・慢性GVHDの発症およびそれに対するステロイド投与がIFDのリスクを高める生着以降ではアスペルギルス症を念頭に予防を行う。これまで複数の抗真菌薬のallo-HSCT後の予防効果およびその安全性を評価する試験が行われ,エビデンスが蓄積されてきた。本総説では個々の抗真菌薬の予防試験の結果を要約し,本邦におけるallo-HSCT後のIFD予防の現状と問題点について言及する。